22年の看護経験を経て辿り着いた場所――吉田さんが語る「訪問看護」のやりがいと魅力

病院や施設での経験を重ね、22年のキャリアを積んできた吉田さん。
その歩みの中で「看取りの看護」に向き合いたいという想いを抱き、訪問看護の道へ進まれました。
今回は、訪問看護に込めた思いや働き方の魅力について、お話を伺いました。
看取りを志して辿り着いた訪問看護
― よろしくお願いいたします。
吉田:よろしくお願いします。
― まず、吉田さんは何年看護師をされているのですか?
吉田:22年ほど勤めております。
― ベテランですね。なぜ訪問看護で働こうと思ったのでしょうか?
吉田:看取りの看護をしたいと思って様々な勤務地を経由して今、ソエルテの訪問看護に辿り着きました。これまでの病院などでの経験から看取りではいろんな経験をしておかないと、最後のご自宅で望むお看取りというところに辿り着けないので、そう言うところに関わりたかったのが一番大きいですね。
― なるほど。そこに向かうために22年間どういったところでお勤めになられたんでしょうか?
吉田:まずは急性の脳神経外科と泌尿器外科が一緒になっているところと、ICUに一年ほどいました。また、その後に消化器外科内科の方に移って、その後サ高住に行った後に療養型にいき、今ここの訪問看護に来ました。
訪問看護で感じるケアの深さと働きやすさ
― 訪問看護として働いたのは、ソエルテが初めてでしょうか?
吉田:はい、最初です。
― 実際に訪問看護で働いてみて、他の現場との違いなど感じている部分はどのようなところでしょうか?
吉田:プラスの面で言えば、病院や施設で働いてきた中でもう少し一人に対して濃密なケアがしたかったという思いや、もう少し時間があれば一人に対して声かけなどもっと丁寧にできたのではないかという後悔などがこれまであったので、そういうものは一対一の看護の中で30分、1時間という時間の中で濃密にできるのではないかと思うところがやっぱりよかったなと。またご家族がご家庭にいたりするので、一人だけじゃなくその背景をみつつ看護するというところが、施設などで入院してくる方々と違ってその人の本質などが見えたりして面白いと思うことがありますね。
― そうなんですね。ちなみに質問なのですが、働き方の面において、訪問看護の良さなどはありますか?
吉田:そうですね、働き方の面でいいなと思うところは、一人で運転して一人で行ってというやりとりなので、煩わしい人とのコミュニケーションがないので非常に働きやすいです(笑)
― いや、わかります(笑)私も一人が好きなので、すごくその環境はいいですよね(笑)
吉田:病院などは一人で行動をすることはそんなにないので、訪問看護はその点気が楽かと。

小規模だからこそできる看護と相談のしやすさ
― なるほど。他にも訪問看護の働き方においていいなと思う点はありますか?
吉田:夜勤がなく一晩の縛りがないので子育て世代の方にはいいのかと。その反面、オンコール持ち(?)なので、おやすみの取り方が難しいと思うこともあります。
― オンコールというのは、休みの日もずっと仕事の電話を持っているということでしょうか?
吉田:はい、出勤するわけじゃないですが、電話が鳴るんじゃないかと言う精神的な不安だったり、実際になった時の対応だったりとかで出動すると言うのはあるので、夜勤のようにずっと縛られているわけじゃないのですが、夜間はあるといえばありますね。
― なるほど。他にも訪問看護を募集しているところがあると思いますが、ソエルテに決めた理由はなんでしょうか?
吉田:そうですね、私は次は訪問看護で働くと一本で決めていたので、他にもみていたのですが、その中で、そもそも大手の訪問看護で働こうとは思っていなくて。
― それはなぜですか?
吉田:一つは大きいところだといろんな形態の看護の方々が入ってくるので、一律が取りやすいような私がやりたい看護ができないと思ったので、個人営業みたいなこじんまりしたところでやっている周りの同期などの話などを聞いて、そういうところがいいなと思って探していました。また、ちょっと夫婦で経営し始めたというところも私にとっては魅力的に感じました。
― 実際に今働いてみて、理想の一律した看護というのはできていますか?
吉田:そうですね、看護師の人数も少ないので、朝のMTなどで必ずオンライン上でも顔を合わせてできているなと。終わった後もこうだったという話ができるのは、少人数のいいところかなと思ってます。とは言っても大手のところに行ったことがないので、実際のところはわからないですけれども。
― 何か他に少人数の大勢の環境で働きやすかった点はありますか?
吉田:大きなところと比べて、意見がまとまりやすいですね。看護に対する価値観はみんなそれぞれ違うので、それを一人の患者さんに対して一つにまとめるのはズレ感が生じるので、それが少人数だと意見がまとまりやすくなるので、最終的に患者様に対するケアの統一感にはつながるのではないかと思います。
― ありがとうございます。今、人数が多いところとの比較でしたが、常時看護師がいるような病院や施設と訪問看護を比べた時に何か働きやすい点などありますか?
吉田:そこに関しても、病院などだとどうしても作業や医療的措置が多くて、本質的な看護ケアというのを考えるというのが少なくなると感じます。医療的行為以外の精神的フォローなどを考えてあげるという点は訪問看護の方がよりできるのではないかと感じています。
― 病院などだとどうしても作業に追われることが多いですよね。
吉田:そうですね、そういうところは違うなと感じます。
訪問看護に向いている人とは?
― ちなみに訪問看護に向いている人というのは、どんな人だと思われますか?
吉田:向いているかわからないですが、人のお宅にお邪魔をする、要はテリトリーの違う場所に入っていくケアなので、他人のプラスを見つけられる人がいいのではないかと思います。まず、訪問看護の一番抵抗するところは人の家に上がることだと思うんです。自分のテリトリーじゃないところに行くのは誰でも抵抗があると思うのですが、その中で、この方にはこんなところがあるんだとプラス思考に回転できる人は、割と入りやすい環境かと考えています。あとは、コミュニケーション能力ですね。病院は病院という自分のテリトリーに患者様がくるので、自分主導で動けるじゃないですか。ですが誰かのお家に入るというのは、とても気を使うことだし、もう来ないでと言われるとそれで終わってしまうので、容姿も外見的なことも気を遣えて、コミュニケーション能力も問われるかと思います。表情や言葉、第一印象や人当たりの良さなども必要かと思います。なので、そういう能力がある方は向いているかもしれません。
― 看護的な技術以外の別なものが求められるのでしょうか?
吉田:そうですね、看護技術は誰でも学べばできることですが、コミュニケーションなど人に対することに関しては、必要ですね。
― また、訪問看護と病院のギャップなどはありますか?
吉田:あまりギャップはなかったですが、医師が側にいないのが一番大きいかと。
― 訪問看護に入って良かったことは何かありますか?
吉田:それはもう看護が楽しいですね。病院は本当に病気に対する治療がメインなので、丁寧な看護ができなかったりするんですよね。時間に追われた看護になってしまいますが、その人の時間枠をとって丁寧な看護ができるのはすごくいいですよね。やれなかったことがやれているのがいいです。
― 車で運転することに関してはどうでしょうか?移動に関してストレスはありませんか?
吉田:私はそもそも車の運転は好きで長距離運転も抵抗がないので、そこはあまりないですよね。ただ、そこに関してストレスを感じる方は厳しいかと思いますね。逆に私は自転車の訪問看護でしたら、真夏や雨の時は大変なのでストレス感じそうです。ソエルテの訪問看護で働くということは軽自動車を運転することなので、そこに抵抗感が無い方が良いのではないかと思います。
― なるほど。
吉田:また、訪問看護はただ介入するだけの看護ではないので、地域的なコミュニティー、包括など多方面的な視点で考えられる力がないと、なかなか病院だとそこまでは求められないので、考える力も必要かと思います。
― 生活を看護するか、治療を看護するかの違いが病院と訪問看護ではあるということですね。
吉田:そうですね。そこで訪問看護は家族対応も入ってきますね。病院も家族対応がありますが、訪問看護ほど濃密じゃないので、やはり説明する力などがないと難しいかと思います。人と話すのが苦手という看護師さんにとっては大変かもしれませんね。だからこそ訪問看護は相談しやすい環境が必要かと思いますが、ソエルテのよ
うに少人数だと相談はしやすいですよね。
― 最後になりますが、訪問看護のやりがいはありますか?
吉田:看護業務じゃないところで感じますね。心のケアじゃないですが、不安要素の聞き取りだったりとか家族の思いとか本人の思いの汲み取りだったりとか、不安なところを秘めずに出してくれると、こうやってきてよかったという思いと話してくださってよかったなと思います。また看取りの際も、病院とは違い時間をかけて行う為、家族の希望を汲み取りながら、その中でいかに本人が望む最後を叶えるのは病院にはないことですよね。家族の思いを中心とした方法をしている病院とは違い、その点はやりがいを感じます。
まとめ|“好き”を続ける働き方が、地域をつなぐ
22年間の看護経験を経て、吉田さんが訪問看護に見出したのは「その人の時間を尊重し、生活に寄り添う看護」でした。
病院での経験があったからこそ、一人ひとりに丁寧に向き合える訪問看護にやりがいを感じられているのだと伝わってきます。
看護技術だけでなく、人との関わり方やコミュニケーション力が問われるこの仕事。
吉田さんの言葉は、訪問看護を目指す人にとって大きなヒントになるのではないでしょうか。